男女の相関について取り上げていますが、相関係数の比較を検討する前に、
ざっくりとした回答分布(実数と割合)について提示しても良いのかな、と思いましたので、主だった回答については、比較に使ったデータをグラフで公開することにいたします。
回答数100名の内訳は男31、女69で、
男女比は約3:7となっています。それぞれの回答の男女分布をご覧ください。なお、回答が多数の
女性をA(左側)、少数の
男性をB(右側)とし、
AとBの割合の差をA-B差として一番右側に表示しています。なお、2つの割合の差を取る際、単位は「ポイント」と言うのが正しいかも知れませんが、全て%で表記いたします。ご承知おきください。
解説:当然ですが、男女はそれぞれ100%ずつです。年齢比は、女性は主に20~30代が中心で男性は20代が半数近くを占めていますが、50代の回答も若干多めです(AB差が11.8%)。
解説:小~高に在学中の手帳等級は、女性は2級が多いです。現在の状況も2級が多く、8割を超えています(AB差が21.3%)。男性の等級は少し分布がなだらかです。聴力変動(の可能性を示唆する等級変更)の割合は30%前後で男女差はありません。
解説:音声については、小~高の頃は同じ程度と考えてよいかと思いますが、
現在は女性が高く男性が低めになっています。「よく使う」で16.6%の開き、「たまに使う」も合わせると18.9%とだいぶ差が開きます。
→
コミュニケーションについての意識や態度に男女差が出ているのではないか
※なお、
枠外の割合は「よく使う」「たまに使う」を合わせた割合と、「ほとんど使わない」「全く使わない」を合わせた割合です。
無回答があると、合計が100%にならないことがありますのでご注意ください(以下同様)。
解説:手話については、小~高と現在で男女ともに逆転していますが、特に大きな男女差は見られません。
解説:文字によるコミュニケーションについては、4件の項目を見ると小~高も現在も男性の方が使う割合が高いように見えますが、2項目ずつまとめた大まかな割合では男女差は見られません。
解説:
女性の半数以上は手話サークル等に通っています。
男性は家族や親戚と手話で話す機会が少ない傾向がありますが、その代わり
職場で手話を使う割合は男性の方が高い傾向があります(女性は比較すると逆の傾向)。
手話を使って、
女性は「おしゃべり」をしたい、男性は「仕事」をしたい、という見方もできるかも知れません。
解説:
小1~3の
普通校在籍状況は女子が高く27.6%の差、中学校の
難聴学級・通級の在籍は逆に女子が低く12.6%の差、高等学校での聾学校・聴覚特別支援学校の在籍については、女子が高く17.4%の差がついています。また、
難聴学級・通級の在籍は24.6%差で男子が高く女子は低くなっています。
また、聾学校・聴覚特別支援学校の在籍の年齢ごとの割合を比較すると、
男子は徐々に割合が下がっているのに対し、女子は小4~6から順に多くなり、高等段階では男子より17.4%差で多く聾学校・聴覚特別支援学校に在籍しています。
考察:
前述の障害等級で見ると、女子の方が聴力が重度であると考えられますし、人工内耳装用者は(年代的に)少ないと考えられるので、「
障害の程度が重度である女子の方が、より配慮の少ない教育の場を選択している」と言えます。これは、男子に比べて
女子の保護者や支援者が「障害を軽いものとして扱いたい」と思っている可能性を示唆しているのではないでしょうか。
その一方で、高校段階では、聾学校・聴覚特別支援学校の在籍は、女子が増加しています。年齢ごとの男女比較を見ると女子は小4~6から高校まで増加しています。
→ 仮説1「小学校高学年からの
女子集団の人間関係に付いていけなくなったのではないか」
→ 仮説2「通常学級で学び始め、
個別の配慮や専門的な支援が十分に得られなかった結果、徐々に学習や集団に付いていけなくなったのではないか」
解説:女性は全年齢段階で「全くない」が30%を超えています。その一方で、「頻繁にあった」「たまにあった」も小4~6では高めです。男性は高校で「全くない」が30%を超えていますが、あとは回答がバラついている印象があります。
※割合が低いのは「無回答」を「覚えていない」に含めず、男女とも回答総数で割って割合を計算しているためです。
解説:男性は中学校高校で「頻繁にあった」「たまにあった」が多く、合わせると中学校で22.8%、高校で16.0%と高い傾向があります。逆に女性はあまり気にしていない傾向が見られます。
→
男性は、中学高校段階で発音を気にし始める傾向があるのではないか。いじめリスクや孤独感との相関を気にしても良いのではないか。
解説:男女ともに「頻繁にあった」が高いが、小1~3は女性が11.2%高めに出ています。また、逆に「ほとんどない」も11.6%女性が高い。男性の無記入が多いため。回答のあった数だけで割合を比較すると、「覚えていない」の男性が多い以外のAB差はありませんでした。
解説:小1~3の「頻繁にあった」が男女で割合に差がありますが、男性の無記入が影響したため。回答のあった数だけで割合を比較すると、「覚えていない」の男性が多い以外のAB差はありませんでした。
解説:小1~3の「ほとんどない」は女性が23.3%高く、有効回答数のみで割合を取っても21.5%と高いです。「ほとんどない」「全くない」を合わせると29.1%(有効回答のみで18.7%)となっている。
小1~3の時点では、女性は男性よりも「聞こえないことを伝える」ことができていたとみられます。
解説:中学校時代について、男女の回答が逆転しています。「頻繁にあった」「たまにあった」を合わせると男性の方が26.5%と高く出ています(女性は逆に「ほとんどない」「全くない」が高い)。高校でも同様の傾向が見られます。中学以降の学習形態(教科担当制など)での話し合いには参加しづらい傾向がありますが、男性の方が顕著に出ています。話し合いに入れないときにヘルプを求めづらい男性と身近な人に頼みやすい女性の性差が出ているのではないでしょうか。
→
中学以降の話し合いで、聞こえないことへの支援が得られていなかった。特に男性の場合は顕著に参加できない傾向がある。
解説:小1~3で「頻繁にあった」のは女性の方が10.9%(有効回答のみで10.0%)高く出ています。「たまにあった」も合わせると21.2%(有効回答のみで17.2%)とさらに高くなります。
小1~3の時点では、分からなくてもそのままにしやすいのは男性の方であると推測されます。この割合は、中学高校以降に逆転し、「頻繁にあった」「たまにあった」を合わせると、中学で13.9%(有効回答のみで13.3%)、高校で17.6%(同16.7%)となっています。
※ただ、女性は徐々に聾学校・聴覚特別支援学校へ入学する数が増えていることから、付いていきやすい方が残っていることが影響している
→
中学高校の男性については、「分からないと言える」かどうか要確認
解説:小1~3、小4~6については、有効回答のみで比較すると目立つAB差はありません。中学の男性に「頻繁にあった」が女性より高く、逆に高校では「全くない」が20.7%(有効回答のみで22.2%)とかなり高くなっています。いわゆる
「親友」がいたか いなかったかの違いと見ることもできます。
解説:小1~3の「頻繁にあった」「たまにあった」を合わせると16.7%の差が出ていますが有効回答のみでAB差をとると7.1%とそれほど大きい差ではありません。他の項目も同様であり、大きなAB差はないとみられます。
解説:小1~3について、有効回答のみでAB差を取ると目立つ差はありませんでした(0.5~8.9%の差)。
小4~6では「たまにあった」が女性について高く13.2%(有効回答のみで14.3%)の差、
「頻繁にあった」を合わせると14.9%(同16.4%)の差で女性が高めとなりました。
中学校では「頻繁にあった」「たまにあった」を合わせるとほぼ差はありませんが、
女性の方が「頻繁にあった」が17.9%(同21.0%)高く出ていました。
高校では男女が逆転し「頻繁にあった」が男性の方が15.3%(同16.7%)高く、女性は「全くない」が男性より13.0%(同20.4%)高く出ており、いじめリスクが大きく軽減されていることが分かります。
※女性は聾学校・聴覚特別支援学校への進学者が比較的多く、母集団が変わっている点に留意
→
女性は小4~6から中学校の時期、男性は中学校~高校でのいじめリスクがあるのでは
解説:小1~3で有効回答のみでAB差を取ると大きな差はありません(0.6~6.8%)。小4~6も同様(0.9~9.2%)。
小学校では特に違いはないと思われます。
中学校では女性の「頻繁にあった」が高く28.3%(有効回答のみで34.0%)の差があった。
高校では女性の「頻繁にあった」が12.0%(同20.4%)の差になっている。男性は「ほとんどない」「まったくない」が女性より高く14.2%(同14.8%)となっています。
女性の「頻繁にあった」は中学で63.8%(同73.3%)、高校で50.7%(同64.8%)とかなり高いと言えます。
→
中学以降に孤独感を感じている女性は非常に多いと言え、対策が必要である。
解説:(後日、追記する予定)
解説:(後日、追記する予定)
解説:(後日、追記する予定)
解説:(後日、追記する予定)
解説:(後日、追記する予定)
解説:(後日、追記する予定)
解説:手話を覚え始めた時期には特にAB差はありませんでした。
手話についてのとらえ方の「家族(養育した人)の考え」について、「必要」は特に差がなく、「特に不要」「使ってはいけない」を合わせるとAB差はありませんが、
女性は「使ってはいけない」が高く、男性は「特に不要」が高い傾向がありました。「小~高の自分」は、
「必要」が男性の方が高く9.1%(有効回答のみで10.1%)の差がありました。これは家族の影響を受けているのではないかと思われます。
解説:男性に比べ、女性の
「家族(養育者)」は、家族や医療機関からの影響を強く受けています。また、「小~高の自分」は、
女性は家族の影響をより強く受け、男性は先生の影響をより強く受けやすい傾向があります。
解説:特に目立つ男女差はありませんでした(有効回答のみでも2.2~7.7%のAB差)。