2018-11-10

アンケート分析(相関係数調べ)

アンケート結果(2018-07版 N=100)について、分析を試みています。

[手順]
1 各質問( 1)から17)まで)と、年齢段階(小1~3、小4~6、中学、高校)ごとにとられたアンケート結果について、「頻繁にあった」を5、「たまにあった」を4…「覚えていない」を1として、それぞれの項目同士の相関係数を求めました

2 相関係数が比較的高いもの(>0.7)、逆相関が比較的高いもの(<-0.5)を抽出して、高い順に並べました。


[相関の高さについて]
・相関とは(簡単に言うと)、各質問の内容について「同じように回答した割合」を表しています。
・相関の高さは相関係数という数値で見ていきますが、相関係数の最大値は1.0、最小値は-1.0です。相関係数が0に近づけば「両者は特に関連なし」ですが、1に近づくほど「関係が深い」と言えます。
・例えば、Aという質問に「はい」と答えた人の多くが、Bという質問にも「はい」と答えていれば、相関係数は1に近づいて高くなります。逆に、Aに「はい」と答えた人の多くがBという質問に「いいえ」と答えていれば、相関係数はー1に近づいて低くなります(負の相関と言います)。


[相関係数の高かった質問項目]
それぞれの項目について、相関係数が高い順にリストアップしました。

No. 項目1 項目2 相関係数
1 13)小1~3 13)小4~6 0.876…
2 16)小1~3 16)小4~6 0.864…
3 12)小1~3 12)小4~6 0.856…
4 1)中学校 1)高校 0.843…
5 13)小4~6 13)中学校 0.840…
6 5)中学校 5)高校 0.836…
7 9)小1~3 9)小4~6 0.835…
8 2)中学校 2)高校 0.832…
9 6)中学校 6)高校 0.819…
10 14)小4~6 14)中学校 0.813…
11 17)小1~3 17)小4~6 0.813…
12 15)小1~3 15)小4~6 0.806…
13 3)中学校 4)中学校 0.797…
14 6)小1~3 6)小4~6 0.790…
15 14)小1~3 14)小4~6 0.775…
16 4)中学校 4)高校 0.773…
17 8)小1~3 8)小4~6 0.771…
18 8)小4~6 9)小4~6 0.763…
19 7)中学校 7)高校 0.748…
20 8)中学校 9)中学校 0.746…
21 8)小1~3 9)小1~3 0.733…
22 3)中学校 3)高校 0.728…
23 2)小1~3 2)小4~6 0.718…
24 13)小4~6 15)中学校 0.711…
25 4)小1~3 4)小4~6 0.709…
26 7)小1~3 7)小4~6 0.703…
27 13)小1~3 13)中学校 0.701…
※各項目の相関係数は小数第4位以下切り捨て
青字は1と2で質問が違う項目

当たり前と言えば当たり前ですが、同じ質問の隣接する年齢段階の相関係数が高く出ています。逆に言えば、低い学年での様子から「将来の傾向が予想できる」と言えるのかも知れません。

特に、以下のものは相関が強いと言えます(相関係数が0.8より大きい)。例えば、小1~3で指文字が教えられない環境であれば、小4~6でも教えられないことが予想される(逆に、小1~3で指文字を教えてもらっていれば、小4~6でも期待できる)と言えそうです。
13)指文字を教えてくれた小1~3と小4~6
16)悩みを解決してくれた小1~3と小4~6
12)ほっとする時間が取れた小1~3と小4~6
1)補聴器を付けているのを見られるのが嫌だった中学校と高校
13)指文字を教えてくれた小4~6と中学校
5)聞こえないことを知られるのを避けていた中学校と高校
9)サポートしてくれる仲の良い友達がいた小1~3と小4~6
2)自分の発音のことが気になった中学校と高校
6)生徒同士の話し合いに参加できた中学校と高校
14)手話を教えてくれた小4~6と中学校
17)難聴学級に友達がいた小1~3と小4~6
15)人との付き合い方を教わった小1~3と小4~6


次に、上のリストから、同じ質問ではない項目間での相関について、取り上げます。
項目1 項目2 相関係数
A 3)中学校 4)中学校 0.797…
B 8)小4~6 9)小4~6 0.763…
C 8)中学校 9)中学校 0.746…
D 8)小1~3 9)小1~3 0.733…
E 13)小4~6 15)中学校 0.711…

上のA~Eについて見ていきましょう。

A…中学校で『3)クラスの中で話が分からなかった』と『4)指示が分からず他の人の行動を真似していた』には高い相関がある(相関係数0.797)

B…小4~6で『8)聴覚障害について話せる、分かってくれる友達がいた』と『9)サポートしてくれる仲の良い友達がいた』には高い相関がある(相関係数0.763)

C…中学校で『8)聴覚障害について話せる、分かってくれる友達がいた』と『9)サポートしてくれる仲の良い友達がいた』には高い相関がある(相関係数0.746)

D…小1~3で『8)聴覚障害について話せる、分かってくれる友達がいた』と『9)サポートしてくれる仲の良い友達がいた』には高い相関がある(相関係数0.733)

E…小4~6の『13)指文字を教えてくた』中学校の『15)人との付き合い方を教わった』には高い相関がある(相関係数0.711)

BCDについては、年齢が違うだけで、同じ項目間の相関です。「話せる、分かってくれる友達の有無」が「サポートしてくれる友達」と直結していることが分かります。

Aについては、「分からない」から「真似をする」という因果関係が考えられます。ただ、BCDのように年齢ごとの相関が近くにない事から、中学校では「小学校と比べて話の内容が複雑になっている」「教科担任制になって指示理解が難しくなっている」「小学校と中学校の集団の作り方の違い」などが背景にあるのではないでしょうか。

Eについては、全く別の項目が関連づけられています。ただ、小4~6の「指文字を教えてくれた」はそもそも「全くない」が68.9%と高い特徴があります。その辺りが影響しているのかも知れません。



次に、逆相関について、高いものから3つ4つ紹介します。

1つ目です。
小1~3の「9)サポートしてくれる仲の良い友達がいた」と、中学校の「14)手話を教えてくれた」には負の相関があります(相関係数-0.607)。
これはつまり、小1~3段階でサポートしてくれる友達が多いほど、中学校で手話を教わらない傾向がある(逆に、小1~3の段階でサポートしてくれる友達が少ないほど、中学校で手話を教わっている)と言えるということです。

2つ目です。
高校において、「6)生徒同士の話し合いに参加できた」と「11)集団の中にいても孤独を感じたことがあった」には負の相関があります(相関係数-0.535)。

3つ目です。
小4~6の「6)生徒同士の話し合いに参加できた」と、中学校の「13)指文字を教えてくれた(相関係数-0.530)」、「14)手話を教えてくれた(相関係数-0.516)」には負の相関があります。


これらの結果をどう見ていくかについて、また徐々に考えていきたいと思います。

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